海外では照明をインテリアの一つとして捉えられているため、デザイン性の高い照明が多いです。SNSを見ても欧米のインテリア画像には素敵な照明が多いため、海外ブランドの照明を購入し、日本で使用したいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、最近はインテリアや照明を日本に送ってくれる海外ショッピングサイトも増えたため、気軽に海外サイトで照明を注文する方も多く見受けられます。
しかし、海外と日本では家庭用の電圧が違うため、そのまま使用できるのかどうか疑問ですよね。また、実際に海外サイトで照明を購入したけれど、取り付けや組み立てができずに困っている方もいることでしょう。
そこで、この記事では、海外の照明を日本で使用するにあたり、注意したい6つのポイントをご紹介していきます。
海外の照明を日本で使用することは可能?
はじめに、海外の照明を日本で使用することが可能かどうかについてご説明します。
照明器具の性能の観点のみから申し上げますと、海外の照明を日本でそのまま使用することは可能です。
電化製品に使用される電圧は国によって異なり、日本の電圧が100Vなのに対して、海外は110~130V、または220~240Vです。高い電圧に対応している海外の照明を、低い電圧の日本で使用することは原則問題ありません。
ただし、海外と日本では、電気用品に対する法律の違いがあるため、そのまま使用するにはかなりのリスクがあります。こちらについては後ほど説明いたします。
また海外の照明と日本の照明とでは、日本独自の「引っ掛けシーリングという取付の仕様に違いがあるため、そのままでは使用できないことが大半です。
海外サイトで照明を購入するときの注意点
そこで、ここからは、海外サイトで照明を購入するときの注意点を6つ解説していきます。
①日本の引っ掛けシーリングに加工が可能か?
日本では、ほとんどの家の天井に「引っ掛けシーリングプラグ」という照明器具専用の取付プラグが取り付けられています。
このプラグは、照明をワンタッチで天井に固定して電気を供給するためのもので、配線器具と呼ばれるものです。国内で市販の照明器具の多くが引っ掛けシーリング仕様になっており、電気工事店に依頼せずとも自分で取り付けられるようになっています。
海外の照明器具を日本で使うには、電気工事士に依頼して直付けの取付工事をしてもらうか、引っ掛けシーリングに加工する必要があります。重量が10kg以上の照明や、天井にぴったり付けるシーリングライト、吊り部材が棒状であったり2本以上ある照明などは、引っ掛けシーリングに加工できません。海外の照明を日本の引っ掛けシーリングで使用したい場合は、重量が10kg未満で、吊り部材がチェーンまたはコードが1本吊りになっている照明を選びましょう。
②設置する天井の耐荷重内の照明か?
天井や引っ掛けシーリングプラグにはそれぞれ耐荷重があるため、それを超える重量の照明を取り付けることはできません。
戸建て住宅の場合、下地を入れる、またはアンカーボルトを打つ等、重量のある照明を取り付けることをハウスメーカーや設計士に伝えておけば、どんなに重い照明でも電気工事士による取り付けが可能です。
マンションや賃貸物件の場合は、天井の構造にもよりますが、ほとんどの場合、10㎏未満まで取り付けが可能です。
引っ掛けシーリングを使用する場合は、天井側のプラグの形状によって5kg未満、10kg未満と耐荷重が異なるため注意しましょう。
天井側のプラグが、「耳付きローゼット」と呼ばれる両サイドにフックの付いた引っ掛けシーリングであれば、10㎏未満の照明が取り付け可能です。一方、耳の付いていない引っ掛けシーリングの場合は5㎏未満の照明が取り付けできます。
ただし、5kgを超える照明器具には10kg未満対応専用のシーリングカップが付いていない場合がほとんどのため、電気工事店にシーリングカップ取り替えを依頼する必要があります。 海外サイトで照明を購入する際は、総重量も考慮して選びましょう。
③電気用品安全法(PSE)の基準に適合しているか?
海外の照明を日本で販売、または使用する場合、電気用品安全法(PSE)に基づいた基準に適合していなければなりません。
電気用品安全法とは、電気用品の安全性の確保により、使用する人の危険(事故や火災)を防止するための日本の法律です。
電気用品安全法の検査を通したすべての照明器具にはPSEマークがつきます。加えて、検査会社の名称が表示されます。
輸入した照明にPSEマークを取得する方法は2通りです。
①海外メーカーに技術基準の適合証明書を提供してもらう
②自主的に登録検査機関の検査を受ける
PSEマークのない照明器具は、そもそも販売することが違法であり、販売店は厳しい処罰を受けます。万一、違法商品が原因で火災などが発生した場合、火災保険の対象外になるため、購入者にもリスクがあります。
海外の照明を使用する際は、PSEマークが付いていることを確認するようにしましょう。
参考文献:経済産業省「電気用品安全法の概要」④表示について
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/hourei/seirei/110706_presentation.pdf
④取り付け工事にどれくらいの費用がかかるか?
照明器具の取り付け工事にかかる費用も見積もっておきましょう。
日本の照明は、引っ掛けシーリングに取り付けるタイプのものが主流ですが、海外の照明は天井に直接取り付けるタイプ(直付け式)のものがほとんどです。
直付け式の照明は、天井にある配線に照明器具の配線を直接繋いで取り付ける必要があります。この作業は電気工事の一種になるため、電気工事士の国家資格を持つ人でなければ取り付けできません。
また、日本のPSE検査基準にするため、配線とソケットをすべて取り換える必要がある場合があります。
海外サイトで照明器具を安く購入しても、取付工事で2~4万円、配線・ソケット交換で2~10万円、PSE検査で5万円以上~程度の費用が掛かることを念頭に置いておきましょう。
⑤アンティーク照明器具の安全性は保たれているか?
電気用品安全法(PSE)に基づき、照明器具にはPSEマークを付ける義務がありますが、条件付きでアンティーク照明器具は例外です。
アンティーク照明器具とは、昭和43年11月の電気用品取締法施行以前に製造されたもので、骨董的価値があるとみなされたものをいいます。
アンティーク照明器具は製造年が古いことが前提となり、安全の保障がなされていません。
これらは、ソケットや配線を全交換することを前提に、例外認証制度を受けるための申請を経済産業省に販売店が販売前に行うことで、PSEマークの表示義務が免除されるのです。
代わりに、PSEマークが表示できないこと、取り扱いに注意が必要であることなどを販売店は告知する義務があります。
アンティーク照明器具を購入する場合は、安全性をしっかり確認するようにしましょう。
参考文献:例外承認制度 – 電気用品安全法(METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/exception.html
まとめ
今回は、海外の照明を日本で使用するにあたり、注意したい5つのポイントをご紹介しました。
海外では照明=インテリアと捉えられているため、おしゃれで独創的なデザインの照明が多数あります。
しかし、日本の照明とは取付方法が異なるため、そのままの状態で使えない場合がほとんどです。海外サイトで照明を購入する際は、ご紹介した5つのポイントを押さえた上で商品を選ばなくてはなりません。
引っ掛けシーリングへの加工はもちろん、天井配線への直結などの電気工事が必要なケースが多いため、海外の照明を購入するなら、日本の規格に加工済みの商品をおすすめします。
当店「EL JEWEL」では、海外の照明を日本仕様に加工が可能です。他店でご購入の照明の引っ掛けシーリング加工サービスも行っていますので、ぜひご利用ください。
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